【安全対策情報】マニラ首都圏(近郊地域を含む)への渡航を予定されている方、または滞在されている方へ(犯罪被害の傾向・注意喚起)

最近の邦人の犯罪被害の傾向と注意点等を下記のとおりお伝えします。
 1 スリ、置き引き被害
 2 各種強盗被害
 3 睡眠薬(昏睡)強盗被害
 4 美人局被害
 5 企業関係者を狙った振り込め詐欺(参考)
●外国人旅行者・滞在者の増加に伴い、犯罪被害の報告も増えてきています。常に狙われているという危機意識を持ち、トラブルに巻き込まれないよう(トラブルを起こさないよう)心がけながら安全対策を講じてください。(フィリピン警察当局からも、治安は悪化傾向にあるとの情報に接しています。仮に何らかの事件に巻き込まれ、危険を感じた場合には絶対に抵抗せず、安全確保を最優先してください。)

1 スリ、置き引き被害
(1)気づいたらバッグを開けられ、旅券や財布等の貴重品を取られていた、といった報告が頻繁に寄せられています。
(2)歩行中、子供たちや浮浪者に取り囲まれ、小銭等をせがまれて困惑しているうちにバッグやポケットから財布や携帯電話(スマホ)を抜き取られる、あるいはショッピング・モールのエスカレーターの出口付近で、小銭やバッグ等を落とした人物とこれを拾おうとする人物等に行く手を阻まれ、前後にいる人々と密着する形でつまずいたその瞬間にバッグやポケットから貴重品を抜き取られるといった「集団スリ」の被害報告も複数寄せられています。
(3)飲食店等において、バッグ等の置き引き被害が相変わらず多発しています。
【注意1】外出の際はできる限り必要最小限の現金等を持ち歩くようにする、貴重品はバッグなどにまとめて収納せず分散して身につけるなどの対策を講じてください。
【注意2】特に一人歩きが狙われる傾向があります。「歩きスマホ」をしない、見知らぬ人物から声をかけられても不用意に立ち止まらないといった行動を心がけ、また恐怖を感じた場合は近くにいる第三者に大声で助けを求めるようにしてください。
【注意3】買い物中又は散策中も、前後左右の人の動きにできる限り注意を払い、エスカレーターなどはできる限り利用しないようにするなどの心構えが肝要です。
【注意4】バッグ類は、常に目に見える場所で確実に管理するよう心がけ、また席を外す際には必ず持ち歩くようにしてください。
【注意5】最近、携帯電話(スマホ)の盗難被害報告が多くなっています。また、「スマホがないと家族や関係者の連絡先がわからない。」、「データ化してあった書類が見られず困っている。」といった相談件数も増えています。特に旅行中の方は、連絡先や必要な書類をスマホで一括管理している方が少なくないようです。スマホを紛失した場合、あるいは盗難に遭った場合を常に想定し、必要なバックアップ対策を講じておくことが肝要です。

2 各種強盗被害
 フィリピン警察当局は、強盗被害が増加傾向にあるとして注意を呼びかけています。特に銃器(凶器)を使用した犯罪には十分な注意と警戒が必要です。
(1)昨年には、夜間、パサイ市内の路上で、外国人旅行者が2人組の強盗に襲われ、抵抗した結果、銃で撃たれて殺害されたとの報告を受けています。
(2)バイクに乗った2人組からひったくり被害に遭い、手をかけていたバッグごと引きずられて負傷した例の報告を受けています。
(3)繁華街を散策中、複数の人物(子供の場合もある)に取り囲まれ、ポケットなどを探られて、スマホを奪われたとの報告を受けています。
(4)空港到着後、流しのタクシーを利用したところ、ホテルへ向かう途中、見知らぬ男が乗り込んできて金を出せと脅されたとの報告を受けています。状況からみて、運転手も共犯と考えられます。
(5)専用アプリで「Grabタクシー」を利用される方が増えていますが、利用者の「安心感」に乗じてGrabをかたり、乗車させた乗客から金品を奪い取ろうとする流しの運転手がいるとの報告を受けています。また、マニラ市旧市街地域を散策中、声をかけられて馬車に乗ったところ、人気のない路地に連れ込まれ、御者から金を出せと脅されたとの報告を受けています。
【注意1】常に狙われているという危機意識を持ち、単独での深夜・早朝時間帯の外出は避けてください。
【注意2】強盗に遭ったら絶対に抵抗せず、身の安全確保を最優先してください。
【注意3】上記1の注意内容と重複しますが、外出の際は、貴重品はバッグなどにまとめて収納せずできるだけ分散して身につける、必要最小限の現金のみを持ち歩くようにする(財布を複数用意し、持ち歩き用のものを分ける)、歩きスマホをしないなどの対策を講じてください。
【注意4】歩行中は後方から来るバイクや自転車等に警戒してください。
【注意5】タクシーを利用する場合は、「Grab」か否かを問わず、どんなに急いでいても、車番等は乗車前に必ず確認するようにしてください。また単独でのタクシーや馬車の利用はできるだけ避けてください。(特に個人旅行者は、空港到着後、流しのタクシーを利用しないようにしてください。)

3 睡眠薬(昏睡)強盗被害
 マニラ首都圏に滞在される方、特に若い旅行者からの被害報告があとを絶ちません。手口、被害例、注意点等を以下のとおりお伝えします。
(1)睡眠薬(昏睡)強盗とは
 犯人(複数の女性のグループであることが多い)が狙いをつけたターゲットの旅行者(被害者)に近づき、同行を促し、その移動中、または移動先の飲食店等において、即効性のある睡眠薬(向精神薬)等を混入させた飲食物を勧め、被害者を眠らせて金品を強奪するもの、またその手口を言います。(精神安定剤(向精神薬)の一種である「Ativan(アティバン:登録商標名)」を用いることが多い犯人らの手口から、フィリピンでは、警察をはじめ、一般的に「アティバン・ギャングによる被害」と称されます。)
(2)手口、被害例
 ア 観光地(マニラ旧市街:イントラムロス)やマニラ市内のリサール公園付近を散策中、見知らぬ人物から、「道を教えて欲しい」、「日本人? 日本にいる親類のことで相談があるんだけど」、「私たちも旅行者なんだけど、一緒に○○に行かない?」、などと声をかけられます。
 イ これに応ずると、徒歩、タクシー等で移動することになります。その後の動きは実に様々ですが、次のような例が挙げられます。
 (ア)飲食店で提供された飲食物を口にして意識を失った。気がつくとホテルの自室で寝ており、ポケットの財布と携帯電話がなくなっていた。ホテルの場所は伝えてあったが、ホテルの従業員に聞いても、誰が送ってきたかはわからないと言われた。
 (イ)タクシーに乗ったが、どこにいるかわからなくなり、また友達と称する女性が2人便乗してきて、自分を取り囲んだ。その車内で渡されたスナック(あるいは果物、ビール等)を口にしたあとの記憶がない。気づくと路上で寝ており、旅券や財布等が入ったバッグがなくなっていた。
【注意1】被害者の多くは、「相手が女性だった(あるいは家族のようだった)のでつい気を許した。」、「とても人を騙すような人物には見えなかった。」、また一様に、「事例は承知していたが、まさか自分が巻き込まれているとは思わなかった。」、「一度行動を共にしてしまうと何かを断るのは難しい。」、「どこにいるかもわからず、また自分だけ食べない(飲まない)というわけにはいかなかった。」などと述べています。かなり巧みに被害者の心理を突いてくるものと考えられます。
【注意2】睡眠薬、精神安定剤等の向精神薬は、量や体調によっては身体に重大な影響を及ぼすおそれのある怖い物質です。見知らぬ人物から誘われても、簡単に同行したり提供を受けた飲み物、食べ物に口をつけたりしないよう、十分注意し、警戒してください。

4 美人局被害
 フィリピン、特にマニラ首都圏では、日本人を含む外国人男性を狙った買春絡みの恐喝、いわゆる美人局(つつもたせ)が多く発生しています。ショッピング・モールで若い女性に声をかけられ、同行した結果、金を出せと脅され、強く拒否したところ男性が現れて(あるいは同行した結果、レストランに誘われ、支払時にクレジット・カードの利用を促され、後日、そのカードの不正利用が発覚する)・・・といった例です。多くの場合、声をかけてくる若い女性について行かなければ未然に防ぐことができるトラブルですが、最近ではマッチング・アプリで待ち合わせた女性とのトラブルに関する報告も増えています。言うまでもありませんが、買春は違法行為であり、状況によっては最高で終身刑が科される重大犯罪となります。
 特に18歳未満の未成年者に対するわいせつ行為等は、たとえ双方合意の下であっても、終身刑等の重刑が科される例もあります。
【注意1】遵法意識を強く持ち、上記同様、見知らぬ人物の誘いには軽々に乗らないよう注意してください。
【注意2】マッチング・アプリの利用にはリスクが伴います。十分留意してください。

5 企業関係者を狙った振り込め詐欺事案(参考)
 日系企業(現地法人)の経理主任が、本邦本社の代表者名を名乗る人物から直接電話連絡を受け、「M&A(企業買収)交渉のため指定の弁護士と極秘裏に連絡してほしい」などと促される(その弁護士から指定の口座に指定の金額を振り込むよう指示される)詐欺事案に見舞われた(実際、やりとりに違和感を覚え、関係者に相談して詐欺事案であることを確認した)という報告が寄せられています。
 近年、在香港日本国総領事館にも同種の事案報告が複数寄せられている事案ですが、類似ポイントは以下のとおりです。今後増加するおそれも懸念されますので、十分ご注意願います。
【手口のポイント】
 ア 本邦本社代表者をかたる人物から、流暢な日本語で、経理担当者(日本人駐在員)に直接電話が入る。
 イ 本邦本社の電話番号が着信番号として表示される。
 ウ M&A交渉のため指定の弁護士に連絡(電話又はメール)して欲しい(指定口座に必要額を振り込んで欲しい)という内容。雑談なし。
 エ 極秘事案のため、本社ないし関係者との情報共有はしないように、という付言あり。
【注意】個人や企業等を狙った「振り込め詐欺」の手口は、常に変化を続けており、プロットなども巧妙化してきていますが、(1)関係者に言わないで欲しい、(2)至急指定の口座に送金して欲しい、という2つの要求には概ね変化がありません。これらの要求がセットになる場合はまず詐欺を疑う必要があると思ってよいでしょう。企業関係者に限らず、家族、友人など広い範囲でこの点をあらためて共有するようにしてください。そして、類似の連絡を受けた場合は、関係者間で必ず共有、確認し合うことをあらかじめ取り決めておくようにしてください。

 犯罪被害例や防犯対策等、詳しくは「安全対策基礎データ(下記URL)」にも記載されていますので、併せ御参照ください。

 安全対策基礎データ:https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure_013.html

・・・・・・・・・・・・・・・
 この情報は,在留届,メールマガジン及び「たびレジ」に登録されたメールアドレスに自動的に配信されております。情報は同居家族の方にも共有いただくとともに、同居家族の方が本メールを受信していない場合は、在留届へのメールアドレスの登録、または当館メールマガジンに登録をお願いします。
 災害や騒乱等が発生した際、ご家族、ご友人、同僚を守るため、一人でも多くの方に安全対策に関する情報が届くよう、在留届(3か月以上の滞在)の届出、又はたびレジ(3か月未満の滞在)の登録を、お知り合いの方や出張者・旅行者にご案内いただけますようお願いいたします。

 在留届・たびレジ登録
(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/https://www.ezairyu.mofa.go.jp/ORRnet/ )
 メールマガジン登録
https://www.mailmz.emb-japan.go.jp/cmd/ph.html )

(問い合わせ窓口)
○ 在フィリピン日本国大使館
 住所:2627 Roxas Boulevard, Pasay City,Metro Manila
 電話:(市外局番02)8551-5710
 (邦人援護ホットライン)(市外局番02)8551-5786
 FAX:(市外局番02)8551-5785
 ホームページ:http://www.ph.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html